八戸ブックセンター様にインタビュー
本を読む人、本を書く人を増やし、本でまちを盛り上げる場所であり続けたい
姥澤:この度は、木のはこ屋の木箱をご使用いただきありがとうございます。
熊澤:八戸ブックセンターでは、オープン時から焼印が入ってない木箱を使わせていただいてます。すごく使いやすかったため、ブックサテライト事業においても「本のまち八戸」の焼印が入った木箱を今回新たに作っていただきました。ありがとうございます。
姥澤:八戸ブックセンターとは、どういう場所になりますか?
熊澤:『本を読む人を増やす』『本を書く人を増やす』『本でまちを盛り上げる』 の3つを方針としていまして、本の販売をはじめ、読書会ルームを市内の読書団体に貸し出したり、当センター主催の読書会を開催したりしています。ほかにも本に関わるイベントをいろいろとやっております。また、本を書く人を育てるということで、登録制ですが無料で何時間でも集中して本を書ける『カンヅメブース』という個室を備えております。登録されてる方向けの講座、ワークショップ等、執筆の手助けとなるようなサポートも行っております。
姥澤:カンヅメブースは予約が必要ですか?
熊澤:ブースは2つあり、空いてればいつでもご利用いただけます。また予約をしていただくことも可能です。
姥澤:八戸ブックセンター様では、図書館のように本の貸し出しはしてないんですか?
熊澤:貸し出ししていないんですよ。販売のみになるのですが、買っていただかなくても、店内で本を手に取っていただき、コーヒーやアルコールなどの飲み物も販売していますので、飲み物を飲みながら、ゆっくりくつろいでもらえるような施設となっております。
本好きが集う場、読書会
姥澤:八戸ブックセンターをオープンされて、お客様の反応はいかがですか?
熊澤:読書会の中でも、本を持ってこられなくてもよくて、ブックドリンクスと言って、本の交流会というふうに位置づけていているものもあります。常連さんもいらっしゃいますし、ふらっと立ち寄る方もいらっしゃいます。持ち寄る本もジャンルがいろいろですので、普段手にすることがないような本とも出会えたという話もお聞きします。
姥澤:読書会はお互い好きな本を持ち寄って、それを紹介し合うような感じですか?
熊澤:お持ちいただいた本をご紹介していただき、若い学生の男の子だとゲームのノベライズ本を、女性の方なら詩集本を、そのほか、哲学関係の本をお持ちいただく方など、幅広い範囲で本をご紹介され、大変面白いですね。
姥澤:本が好きという共通項で集まってくるということですね。
熊澤:月末金曜日18時から行っており、閉館までの2時間ですが、お酒を注文される方もいらっしゃいます。
姥澤:私は自己啓発とか、政治・経済のノンフィクションが好きなので、そちらを紹介したいですね(笑)
熊澤:姥沢様にもご参加していただくと皆さまの幅が広がっていいですね(笑)
姥澤:小説は全然読まないんですが(笑)
熊澤:小説しか読まない方もいらっしゃるので、普段手に取らない本を知るきっかけにもなります。
姥澤:それぞれが好きな本の良いところを力説するわけですね。
熊澤:ゲームのノベライズ本も時代背景などは歴史を踏まえた上で書かれていたりしますので、すごくわたしにとって響いたことをご紹介されていました。それなら読んでみたいという気になったりもします。
姥澤:それがきっかけで繋がったりなどもしますね。
熊澤:そのイベントも含め、常連になってくると別の読書会にも参加されたり、お会いした方同士でご挨拶をする雰囲気になっていますね。当ブックセンターがきっかけで知り合いになっていたりします。
姥澤:読書会の内容はひとつのテーマでおこなったりしているのですか?
熊澤:そうですね。ひとつのテーマでおこなうことが多いのですが、課題本が決まっている読書会の場合、まず課題本を読んでこないといけないなど敷居が高いと思っていらっしゃる方もいますので、スタッフが課題本を紹介するような形の読書会をおこなうこともしています。
姥澤:参加された方に感想をお聞きするとか?
熊澤:そうですね。読まれた方には感想などお聞きしております。
姥澤:本を通じて参加者同士が繋がりを持ち、お互いの本を好きになっていただくなど、そのような試みになっていますよね。
熊澤:オープンが2016年12月で約2年経ちましたので、常連さんもついてきていただいております。
姥澤:散歩がてらふらっとお越しいただく方とか。
熊澤:そうですね。犬の散歩をしてから来ましたという方もいらっしゃいます(笑)
姥澤:本屋って何か買おうというよりも、ふらっと行ってこれ面白そうみたいな感じで買ってしまいます。
熊澤:そういう方もいらっしゃいますが、意外と目的があってくる人が結構多いなって感じがします。この本ありますかって。
姥澤:本屋さんにいくと一時間とか二時間とかいるのですけど、楽しいですよね。どんどんかごに入れてしまって。読まないのに買ってしまうとか(笑)
熊澤:買って満足するとかですね(笑)
姥澤:どこかのタイミングで購入した本を出してきて読むというのも、その本との出会いといいますか。
熊澤:そのときに購入しないと忘れてしまい、またあとから入手できないなどもありますので、気づいたときに購入するというのが一番ですよね。
本を題材にしたギャラリー展
姥澤:読書会のほかに、大事にしている取り組みなどはありますか?
熊澤:当ブックセンターには、ギャラリーも備えており、2~3ヶ月に1回、イベントを開催しております。以前は八戸市出身の写真家cherry chill will. さんの写真展を開催したこともございます。日本のヒップホップアーティストを写真撮影されている方で、ライブ風景ですとかアーティスト写真を撮り続け、今年の2月に写真集を発刊されましたので、その記念も含めてギャラリー展を開催いたしました。これまで本にあまり興味がなかった方が、ヒップホップや音楽に関する今回の展示をきっかけに、ブックセンターにいらっしゃってくれました。
姥澤:ギャラリー展は八戸出身だったり、八戸にゆかりのある方を対象にしているのでしょうか?
熊澤:そうですね。八戸出身や八戸にゆかりのある方だったりするのですが、お近くの出身ということで寺山修司さんを取り上げたこともあります。内容も、八戸出身の小説家 木村友祐さんの本を出版する過程を見せるギャラリー展を開催したこともあるのですが、生原稿であったり、装丁の作られる工程というような展示をおこなったこともあります。
姥澤:本はもちろんですが、アートであったり、文化的な内容であれば特にジャンルは問わず企画されてる感じですか?
熊澤:そうですね。やはり、本を絡めつつといったところですが、アートに興味がある方にも来ていただけるように、視覚的なところから工夫して展示しています。
市民の執筆心をくすぐるカンヅメブース
姥澤:お客様とのやり取りにおいて、特に印象残っていることはありますか?
熊澤:カンヅメブースは、文章を執筆するためにご利用していただいているのですが、ここで書いたものが新聞に載りましたとか、本を自費出版しましたとか嬉しそうにおしゃっていただく話をお聞きしますと、場所を提供したことにより、こちらとしてもお役に立てたというか、こういう形になってきていることがすごく嬉しいです。ほかの方に読んで欲しいために書く方々もいらっしゃいますので、当ブックセンターでもぜひほかの方にもお読みいただきたいとので置かせていただいたりしています。
姥澤:カンヅメブースを活用されている方も結構いらっしゃるのですか?
熊澤:現在、約170人登録していただいております。文章を書きたいと思っていらっしゃる方がそれほどいるということにも驚いております。
姥澤:ここからベストセラー作家が出てくるといいですね。
熊澤:誕生すればいいなと(笑)小説の書き方講座のようなこともおこなおうと思っています。
姥澤:書き方の基本みたいな形もあるでしょうし。
熊澤:ショートショートというすごい短い小説の書き方講座をしている方をお招きして、小説を書いたことがない方も参加できるワークショップを開催する予定もあります。いままでも電子出版のワークショップや著作権について学ぶ講座なども開催してきました。文章を書きたいという方にはすごく喜んでいただきました。
姥澤:そういえば芥川賞作家の高橋さんも十和田市出身ですよね。実際に住んでいるのは東京の方で。
熊澤:そうですね。八戸ですと三浦哲郎さんがいらっしゃいます。第二の三浦哲郎が誕生するように(笑)当ブックセンターでは三浦哲郎の文机のレプリカを設置しており、畳敷きにしていますので読書席として使用していただくこともできます。三浦哲郎の功績も讃えつつ、第二の三浦哲郎も出てきていただければと願っているところです。
姥澤:お笑いの又吉さんも元々は本好きで、そこから自分で文章を書いて、芥川賞受賞作家になりました。
熊澤:芸人さんなども学歴高い人とかも多く、文章を書く方もいらっしゃるのかなと。
姥澤:人を笑わすことも難しいですし、あたまがよくないと(笑)
熊澤:そうですよね(笑)
図書館以外にも本との触れ合いの場を…ブックサテライト
姥澤:八戸ブックセンターのほかに、本を手に取っていただくということで、ブックサテライトを展開しておりますが。
熊澤:本屋や図書館以外の場所でも、本に出会える場所を作りたいということで、八戸各所にブックサテライトを展開しております。ブックサテライトの一つである「Co部屋」は美術館の建設推進室なので、街なかにあるアートみたいな、視点を変えるとアートに見えるよみたいな本を並べるなど、その設置場所に合わせたテーマをイメージし、設置する本を選んでおります。
姥澤:ブックサテライトでは本の販売はしていないのですか?
熊澤:販売はしていなく、本を読んでいただくという感じです。
姥澤:カフェの場合、コーヒーを飲みながら本を読めますね。
熊澤:そうですね。設置場所に合わせて本を置いています。ブックサテライトにご協力をいただいているカフェもあり、コーヒーと一緒に本を楽しんでいただきたいと思っておりますのでコーヒーの産地に関する本や、女性が一人でくつろぐときに読むような本をセレクトしております。その場所に訪れるお客様の状況に合わせて本を選んでいますね。
姥澤:お店からのリクエストもありますか?
熊澤:そうですね。聞き取りなどをして、どういうお客様がきますかなど、ヒアリングをしています。
姥澤:どこかのタイミングで設置の本が変わったりしますか?
熊澤:一年間は同じ本を置いていただき、一年経った段階で本の入れ替えを相談する形となっております。
姥澤:ブックサテライトにもディスプレイ用として木箱を利用していただき、ありがとうございます。
熊澤:こちらこそありがとうございます。今後も順次拡大していきたいと思っております。
本のレイアウトにぴったりな木箱
姥澤:木のはこ屋の木箱を導入したきっかけをお聞かせください。
熊澤:オープン時から木箱を使わせていただいていまして、県産材で造られた木箱ということも一つの魅力で、ご依頼させていただきました。また本を入れたままでどこにでも移動できる使いやすさがありましたので、今回新たにブックサテライトにも使用させていただいております。
姥澤:今回採用された木箱のサイズですが、通常の1尺×1尺×2尺の細長いりんご箱サイズではなく、A4サイズが縦に入る15kgタイプですが、これはりんごダンボールの3段詰めサイズとなります。
熊澤:言われて気付きましたが、ダンボールのサイズなのですね。これはブックセンターでもぜひ紹介したいですね(笑)
姥澤:ダンボールの中にりんごを入れるモウルドパックとかカップ上のものがありますが、この木箱はそれがちょうど入るサイズとなっています。昔はダンボールでも3段詰めが主流でしたが、今は2段詰めの10kgサイズが主です。1段の5kgや3kgなど段々容量が小さいものが好まれるようになってきていますね。
熊澤:このサイズですと大きい写真集も入るのも魅力的ですね。
姥澤:ほかの書店様にもこのサイズをご利用いただいているのですが、レイアウトによって並べたり重ねたりしてご利用いただいてますね。
熊澤:そうですね。ブックセンターでも同じように重ねて使わせていただいております(笑)
木の自然の香りが心地よい木箱
姥澤:実際、木箱をご利用していかがでしたか?
熊澤:ちょっと質問からそれるかもしれませんが、香りがすごく良く、オープンの時もお客様から香りがすごくいいねってよく言われます。木箱が届き、開封した時に香りがすごく良くて感動したというのが、すごく印象的でした。
姥澤:今回、ブックサテライトに新たに利用していただいている焼印を入れた木箱は青森ひばですが、特に香りは良いですよね。
熊澤:オープン時に導入したのは、青森ひばと赤松の2種類で、ひばはやはり香りが良いと感じました。
姥澤:時間が経つと香りも弱くなってくるのですが、サンドペーパーで表面をこするとまた香りが復活するようになりますよ。
熊澤:それは良いことを聞きました(笑)
姥澤:木箱は展示レイアウトごとに可変させられるところもありますが。
熊澤:そうですね、重ねたり背中合わせにして両側から見られるようにもしています。
姥澤:以前、学校の先生から注文があったとき、引越しが多くて職業がら本も多いので、本を入れた木箱ごと引越しをして、そのまま並べて本棚にするというお客様もいらっしゃいました。
熊澤:ほんとに良い素敵な木箱ですので、これからも利用させていただきます。このブックサテライト企画も、第一弾として6つの場所に設置しているのですが、毎年順次、拡大していく予定ですので、設置場所が増えましたら再度よろしくお願いいたします(笑)
姥澤: 長いお時間となりましたがお付き合いいただき、まことにありがとうございました。
- 八戸ブックセンター
- [住所] 八戸市大字六日町16番地2 Garden Terrace 1階
- [電話] 0178-20-8368
- [開館時間] 10:00~20:00
- [休館日] 毎週火曜(祝日の場合その翌平日)
- [ホームページ] https://8book.jp